京都東福寺龍眠庵の樹木葬コラム
後悔しない樹木葬の選び方
お客様がお墓を選ぶ際に重要と思われることは、生活環境と共に変化してまいりました。
特に、筆者が墓石業界と携わってからの30年の間には、一段と大きく変化しているように思います。
樹木葬は、新たな埋葬の方法として世間に認知されるようになりましたが、数年の間には新たなお墓として形を変えてまいりました。
このような変化の途上には、本来のお墓の役目を果たせていないのではないかと思うものなど、まだまだアップデートが必要と感じる部分もございます。
先々に、「思っていたものと違う」と困らないためにも、我が家のお墓としての樹木葬を選ぶ際の注意点を紹介させていただきます。
樹木葬ブームの到来
本来の樹木葬とは、土葬などと同様に埋葬をする方法の一種です。
火葬が普及するまでの長い間は、土葬するのが一般的でした。
居住地から離れた場所に土葬をした場合は、ご遺体を埋葬した場所とは別の近所の寺院などに供養塔を建てて亡くなった人の供養をするという形が確立していました。
樹木葬という言葉を聞くようになった頃は、「少子化の時代に対応した墓石が不要で経済的な負担も少ないお墓」というキャッチフレーズがついていました。
その頃に樹木葬を支持された人の中には、樹木葬という埋葬の方法に共感をされたのではなく、安価なお墓を求めた人も多かったのではないかと思います。
そのために、交通環境やお供養の方法など、安価と引き換えにして戸惑った人もおられたのではないでしょうか。
霊園や寺院での樹木葬
最近では、霊園や寺院などの墓地で樹木葬を募集している所が増えてまいりました。
このように墓地での樹木葬が増えた理由は、沢山の方々が利用をされるようになったことに尽きるのではないかと思います。
正統派?の山林に埋葬をしていた樹木葬からは、「邪道だ!」といいたくなる気持ちも分かりますが、スタートの時点で安価をアピールしていた樹木葬には正統や邪道を語る資格はありません。
今までのお墓参りの風習に慣れた方々は、お墓参りをしやすい環境も考えた上で、我が家に合ったお墓を霊園や寺院に求めているように思います。
墓地使用規程の確認が重要
まずは最近の樹木葬事情を踏まえていただく必要があると思い、前置きが長くなってしまいました。
樹木葬は、まだまだ生まれたばかりのお墓です。
既存のお墓のように、大まかなルールのようなものが確立していません。
霊園や寺院ごとに異なったルールで、お墓の維持管理をしています。
- 霊園や寺院のルールを知ることが大切
今までお墓を選ぶ際に重要視されていたポイントを紹介させていただきます。
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陽当たりや眺望、周辺の建物など墓地の環境
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初期費用と維持費
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交通環境
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墓地管理者の経営指針や経営状態
- 石材店の接客や方針
既存のお墓であれば、上記の1~4を押さえておけば、先々に困ったり後悔することは少なかったと思います。
どこの墓地も、おおむね同じような墓地使用規程(墓地管理規程など)があって、時々ペットの埋葬の良否に触れているという違いがある程度でした。
樹木葬の場合では、墓地の使用を有期間にしている所が多く、使用できる期間や期間満了後の処置が霊園によって異なります。
また、埋葬できる人数に制約があるところも多くあります。
お墓を使用できる期間や埋葬可能な人数は、何をおいても最も大切な部分だと思いますが、意外と簡単に考える人が多いように感じます。
上記の1~5以外に、使用期限や埋葬可能人数についても注意しましょう。
- 樹木葬の規約で注意すること
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使用期限がある樹木葬は、期間の長さが十分か否か、使用期間延長の可否について確認をしてから検討してください。
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墓地を確保してすぐに使用期限のカウントが始まるお墓は、生前墓には相応しくありません。(埋葬後にカウントが始まるお墓が相応しい)
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お墓の使用中に、埋葬予定者の増員ができないお墓は家族墓として相応しくありません。
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年間管理料など維持費が必要なお墓は、管理料滞納の場合に使用期間中であっても使用権消失のリスクがありますので、後継者のない方には相応しくありません。
これらは、霊園や寺院が提示する墓地使用規程(墓地により規約の名称は異なる)に明記されています。
もしも、墓地使用規程などの規約がない樹木葬がありましたら、どのような好条件を告げられても避けた方が賢明です。
- その他の注意点
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納骨室の容積が、埋葬予定者と見合った広さになっているか?
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永代供養のお墓の場合は、具体的にどのようなことをしていただけるのか?
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墓前での法要の際の費用など、お供養に関して必要な費用は?
少しでも疑問に感じることがございましたら、現地で説明をしてくださるスタッフに質問してください。
初めて見学をされるお客様は、最初はスタッフに対して「何を質問してよいのか分からない」というのが本音だと思います。
現地のスタッフと話す中で、色々な質問をしたくなる場合は、スタッフからは細かな説明がされている証拠で、お客様の立場に立った対応をしていただいているといえます。
現地のスタッフによって、墓地全体の印象が変わってしまうのは残念ですが、上記のような注意点を念頭にご不明な点は積極的に質問していただくようにお願いします。
- 有限会社 オフィス石太郎
- 担当 柳田 貴人
- 近鉄東寺駅近くの墓石店
- 電話 075-693-7345(10:30~18:00)
- 毎週火曜日・第2第4水曜日定休